いつから僕は、こんな孤独に怯える様になったんだろう。

昔は独りでも寂しくなかったのに。
独りが好きだったのに。

皆に会ってから…
堕威君に会ってから。
堕威君の胸の温かさを知ってから…
独りが怖くなってしまった。

僕のキモチ、判ってんのかな。

時々、会えない時がある。

不可抗力だったり、
…今日みたいに理由が無かったり。

昨日メールでは「明日行くかも」って書いてあった。

僕は…いつもだけど…特にメールは返してない。
いつも一方的に来るメール。
どーでもいい事、
よく判んない写真、
アホな文章。

そして時々…

「愛してる」

昨日のメールには、書いてあった。


外は雨が降り始めていた。

堕威君…いつも傘持たないからな…
きっとびしょ濡れで来るんだろうな。
それで「シャワー!」って断りもなく使い始めて…

はたと気付く。
別に今日…来るか判らないのに。
何考えてるんだろう、僕。

…きっと、メール返信したら、すぐ来てくれるんだろうけど。
「やもちゃん!どうした!?病気か!?」とか言ってさ。

…会いたい。

僕はベットに横になりながら、目の前の携帯電話に手を伸ばす。

あいたい。

…たった四文字の、僕の言葉。
…でも、僕は今日も…送る真似。
送信ボタンを押す真似。

…送ってたら、きっと今頃はもう…

僕は起き上がる。
ドアの方を見つめて。

堕威君、来て。
僕、もう…

立ち上がって、ドアの方に駆け出す。
堕威君、会いたいよ…。

ドアノブを開けて…

「だ…いくん…」
目の前に、堕威君が居た。


やっぱり、ずぶ濡れだった堕威君。
ちょっとだけ、眉をひそめて、
早口で僕にこう告げた。

「ごめん…遅くなって」

遠くで、僕の携帯電話が震えてる。
きっと、堕威君からのメール。

見なくても、書いてある言葉はきっと…

「愛してる」