猫。猫はいい。猫が好きだ。愛ラブ猫。
という訳で、ウチにも猫が居る。
愛おしくて仕方ない猫が。
あ、もうゴハンの時間。
「おーい、心夜ー、メシやでー」
返事無し。
ああ、そう、コレコレ!
普段は愛想の無いこの表情、態度。
もうたまらん!
とことん自分勝手なこの猫が!
「…でもさ、堕威君もあんまり僕と大差無いよね」
「う、うるさい!聞いとんなら答えんかい!メシ!」
「…」
まぁ、こんな風に
普段は可愛げあまり無いのだけれども。
でもそれもまた、愛おしい。
そして!
甘えたい時はとことん甘えてくる、猫!
おお、可愛い。
そして今日も。
「堕威君」
「ん?」
「膝の上、乗っていいかな」
「ええよ」
聞いてくる所がまたニクイ。
ゴロゴロ言いながら
俺の膝の上でのんびりしてる猫。
「堕威君」
「何?」
「何か、当たるんだけど」
「何が」
「かたいものが」
「女の膝と違って男は骨ばっとるしな」
「いやそうでなくて」
「何」
「これ」
…
「…ゆ、指さすな、恥ずかしい」
「だって」
「…仕方ないやん」
「何が」
「可愛いのが膝の上にのっとったら」
「僕?」
「聞くな」
「じゃ聞かない」
「…やっぱ聞いて」
「…あっそ」
そして。
猫が居ると、ベットが暖かい。
相手の体温が、こちらに伝わる。
何て、暖かいんだろう。
「…熱いの間違いじゃない?」
心夜が心を読んだらしく(いや、表情か?)、
小声でぐさりと言ってきた。
「いや、そんなこ…と…は…」
茶化そうと思ったのだが。
つい、見つめてしまった。
少し熱を帯びた顔。
少し息の混じった声。
少し乱れた髪。
少し潤む目。
…ごくり。
マジでヤバい。
眼を逸らしたいが、あまりに色っぽすぎて、
つい顔をまじまじと眺めてしまう。
これは逃げられない…
しかしつい、表情が隠せてないのにも関わらず、反論をする。
「な、何言うんや」
ちょっと、間が空く。
僅かに眉間を寄せて、ぼそりと呟いてきた。
「だってさ、僕の身体何回も何回も…」
「そ、それ以上喋るなアホ!恥ずかしいわ!」
赤くなった顔が見られたくなくて、
布団をかぶって反対側を向いた。
自分がしたことだというのに、
恥ずかしがってそっぽを向いて寝てしまった。
本当、すぐ寝るんやから。
よく、僕のことを「猫みたい」って言うけど
堕威君の方が猫っぽいのにね。
サラサラの赤い髪を撫でながら
いつまでも、大きなその猫の顔を見つめていた。